はじめに
僕がはじめて経験したW杯予選は、93年のアメリカW杯予選でした。
イタリアW杯の時は、日本が予選を戦っていたのを知らない位でした。
W杯そのものはイタリアの時から見ていましたが、とてもとても日本が出れるとは、つゆにも思っていませんでした。当時は、ブラジル戦で見せたマラドーナのスルーパスに身震いし、決勝での悔し涙に同情していました。
このころから本格的にサッカーと世界を意識しはじめました。
それまでは、単なる友達との遊びの手段に過ぎませんでした。
93年 アメリカW杯予選
このころまでには、いっぱしのサッカー通(自称)に成長していました。
Jリーグも開始され、格段にサッカーを見る機会が増え、同時にTV東京でのダイヤモンドサッカー(?)で海外の素晴らしいプレーを見ることができて、日本もこんな奴らと戦ってみたいと思いはじめました。しかし残念ながらそのころは高校三年ちゅう微妙な時期でして、W杯1次予選が始まると言っても、指をくわえてTV観戦するだけでした。
今思うと、1次予選ごときで何騒いでいたんですかね。(^^)
相手が格下なのに「5点、6点も取ったぞ!」と大喜びしていました。
高木も復調したように錯覚してしまい、今更ながら思い出すだけで恥ずかしいものです。(^^;)1次のアウェイも雑音の激しいラジオにかじりついて聞き、なんか日本と戦っている時と違うなぁ、と不思議に感じていました。
全くホーム、アウェイを認識していませんでした。
そして、あのドーハでの闘いです。
初戦のサウジアラビア、2戦のイランと、ひいきの高木は完全にブレーキ。
試合を見てて、これまでの熱気がうそのように冷めました。
何うかれてたんだ。俺。
何がアジア最強だよ。他の国だって全然つよいじゃん。
本気の闘い、というのをはじめて見た気がしました。
背筋が凍るような恐さを覚えました。
「これがサッカーなのか、、」
サッカーの裏の姿をはじめて垣間見た瞬間でした。
それまでは自分にとっては、サッカーとは”楽しいもの”でしかなかったんです。
全然あまちゃんだったんですね。そして、勝たなければならないという状況で韓国戦を迎えます。
日本が優位に進むなか、ついにカズがGOAL!!
夜遅くにも関わらず、当時住んでいた団地のあちこちから歓声があがり、上の人はジタバタ駆け回ってうるさかったです。
あぁ、みんな見てるんだ、ってわかってうれしかったです。そして最後のイラク戦です。事前の情報として、選手の多くが入れ替わってたり、なんやらW杯出場不可能決定でムチ打ちの刑だと騒いでいたので、これはもらったとほくそえんでいました。
韓国戦同様、日本のゴールが決まると、団地のあちこちから歓声が聞こえます。
しかし試合内容は最悪。ルーズボールはほとんど相手に拾われ、松永のファインセーブがなければボロボロだぞ、と内心思っていました。
まぁ、W杯行けりゃ関係ないや、とたかをくくって、W杯出場の記念すべき瞬間をビデオにとっておこうと、録画のスイッチを残り五分から入れました。
「恐くて見ていられない。」と奥に引っ込んだおばさんを連れ出し、(当時家出中)みんなで見ることとなりました。以下、実況。
俺「まぁ、いろいろとあったけど、これで行けるよ。」
(と言ってるそばから、日本ピンチ。松永ファインセーブ。CKに逃れる。)
俺「ふぅー。危ない、危ない。でももう大丈夫。ここで危なかったから、もう失点はしないよ。(意味不明)」
ところが、意表をつくショートコーナーからボールはゆっくりとネットへ、、
TV「、、、、、、、、、、、、、、、、」
おじさん「まぁ、こんなもんだよ。さあて、寝るか。」
おばさん「だからあたしは見ない、といったのよ。」
俺 (ちょっと黙った後)「こんなもんか、、」布団に入った後、気になったのでラジオのニッポン放送をつけてみると、どうやら次の番組が始まったらしく、
「いや〜、今までの話はすべてどっきりでして、、って違うだろー!!(怒)」
と伊集院(たぶん、、)がのたまっていた。
その言葉が妙に頭にのこって、俺はグーグーと眠ってしまった。翌日、学校に早く出かけると、たまたまIと教室で出食わし、お互い顔を見合わせて
「なんなんだかね〜」と開口一番、苦笑してしまった。
そんなこんなで、自分は何もできなかったと、悔いの残る予選だった。この悔しさが、次のW杯予選の原動力となったのは言うまでもない。つづく。
蛇足だが、ちょうど実力試験の時期で、W杯予選に没頭していた者は軒並み成績を落としてしまった。
平均点も、その回だけガクンと落ち込んでしまった。
そんな中、まつう○くんが
「いやぁ〜、みんなはまってたおかげで、順位あがったよ。」
とうれしそうに俺にしゃべってたのが、妙に印象に残っている。
んっ?俺? もちろんW杯予選を言い訳の材料にさせてもらいました。
今となっては、いい思い出です。
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